映画「半世界」あらすじ

とある地方都市の山中で炭焼き職人をしている紘(稲垣吾郎)は、自衛隊を辞め突然地元に帰ってきた同級生であり古くからの友人でもある瑛介(長谷川博己)と再会する。
同じく古くからの付き合いである同級生の光彦(渋川清彦)を交え3人の交流は復活するが、
39歳になりそれぞれの事情を抱えた3人にはそれぞれの悩みがあった。
紘は受験を控える息子・明(杉田雷麟)とは衝突して紘ばかりで妻の初乃(池脇千鶴)にも呆れられる毎日。
父から継いだ炭焼きの仕事も時代の移り変わりの中で次第に上手くいかなくなっている事も自覚している。
そんな中突然帰郷した瑛介はつも通りの炭焼きをするはずだった。
しかし突如として紘は倒れそのまま息を引き取ってしまう。
紘がいない世界で瑛介や光彦はこれからも生き続ける事を明らかに以前とは様子が違い人格まで変わってしまったようだ。
友人のそんな様子を気にかけ、自分の炭焼きを手伝わせたりと何かと世話を焼くうちに紘は次第に自分自身の問題にも向き合うようになっていく。
仕事への不安と誇り、妻への甘え、そして息子・明が直面しているいじめ……
紘が少しづつ足元を見直すようになるにつれ家族関係にもわずかに変化が生じ始めたように思えた。
そんなある日光彦が家族で経営する中古車販売店で起こったトラブルが発端で、紘は瑛介が抱える決して癒える事のない過去の一端を知る事になる。
なんとかその場は収まったが、トラブルによって引き起こされた事件に責任を感じ瑛介は再び故郷を去った。
自分自身の知らない世界を知ることで自分が今生きる世界を見つめ直す事が出来た紘は
瑛介を探し出しある言葉を伝えると、仕事である炭焼きに戻った。
紘の変化により家族がほんの少し変わり始めたと思われたある日、
初乃は同窓会に出かけ明はいじめっ子と対峙し紘はい決め、
初乃と明もまた新しい決断をするのだった。

映画「半世界」感想

半世界というタイトルは既存の写真集から取ったものだそうですが、このタイトルがすべてを表している、そんな映画でした。
稲垣吾朗演じる主人公の紘はごく普通の地方都市に住む39歳の男性です。
炭焼きという仕事は過酷で特殊な世界ではありますが、紘自身はごく普通に仕事に明け暮れ、妻に甘え、息子に無関心な平均的な日本人男性といえます。
そんな紘と対局をなす存在が突如帰郷してきた瑛介。
佇まいからすでに抜き身の刃のような危うさを漂わせる瑛介はいわば紘とは鏡合わせの存在。
自衛隊に属し海外派遣を経て過酷な経験をしてきた瑛介が見た世界は
炭焼きに明け暮れていた紘とはあまりにも違いすぎたのです。
時間と見てきた世界の違いが二人を隔てている。
古くからの友人である瑛介にそれを突き付けられた事で紘はある事に気づくのです。
紘にとっては妻・初乃や息子・明も同じである……という事に。
見ている私たち自身も自分の“半世界”に気づけるような経験をさせてくれる、そんな映画でした。
人が一生のうちに知る事のできる世界はごく僅かだけれど、
その小さな世界で一人一人が懸命に生きる事が大きな世界を形作っているという、あたりまえだけど大切な事を教えてもらえた気がします。